博物館が好きな私が、まさか天下の大英博物館で…

「ロンドンで2泊3日滞在するなら何をしたらいいでしょうか?」
「イギリスに1週間旅行しますがどこに行くのがおススメですか?」
このような質問に対する私の答えはずっと決まっていました。「ひたすら大英博物館に通い詰める」です。行った人が「とても広い」と必ず口にする大英博物館ですので、イギリスに行くのであれば、歴史の宝庫で朝から晩まで過ごしても退屈することはないはずです。私もいつかは大英博物館に行ってみたい、と中学生の頃から思っていました。
そして念願かなって今年の夏、とうとうイギリスの大英博物館に行くことができました。
1番見たかった展示品はロゼッタ・ストーンでした。辞書の役割を果たしたというそのエジプトの出土品には3種類の文字が書かれています。世界的に有名なものですよね。
その次に見たかったのはアテネのアクロポリスにあった女性の形をした神殿の柱でした。ギリシャには何度も行きましたが、あちらにあるのはレプリカで本物はここ大英博物館に展示されているのです。
それ以外は何も決めず、ゆっくりと大英博物館を楽しむつもりでした。そのために私は2日間を大英博物館の見学にあてていました。
夢にまで見た大英博物館に到着したのはお昼前でした。入り口前の広場にはものすごい数の観光客がいました。しかし彼らは話をしているだけで入場を待っているわけではなかったので、私は人の波をかき分けて奥へ入って行きました。
博物館の中に入ると、広々とした空間が広がっていました。入り口を入ってすぐの場所は遠足のように、集団で見学に来た人が集まれるように広くしてあったのかもしれません。私はその部屋を過ぎてエジプトのコーナーへ行きました。
最初に目に入ったのがガラスのケースで、その周りには人が群がっていました。そうです、これが私のお目当てだったロゼッタ・ストーンなのです。分かりやすい場所にあったおかげで探す手間も省けました。写真で見たのと同じように3種類の文字が石に刻まれていて、想像していたよりも少しだけ大きな石でした。
裏はどうなっているのかと後ろにまわってみましたが、裏側はぼこぼこしが普通の黒い石でした。厚みは20センチほどでしょうか。
満足するまでロゼッタ・ストーンを眺めて写真を撮った私は、別の展示を見ようとふり返りました。けれどもこの博物館には決まった順路がなく、また人も多いので何がどこにあるか分からず、次にどれを見ようかと探さなければいけませんでした。探さないと見えないほど展示品が離れて置かれていたのではありませんが、人が多くて見やすいものを探して進む必要があったのです。一筆書きで見学できる日本の博物館に慣れていた私にとって、流れに任せて自分のペースで見学できない大英博物館は居心地がよくありませんでした。博物館が好きな私にとって、大英博物館が自分に合わないとは思っていませんでした。
予想外のことに大きなショックを受け、ギリシャの彫刻と簡単に他の部屋をのぞいただけで外に出てしまいました。
まさか天下の大英博物館が自分の肌に合わないとは……。これは私の今年最大の悲劇でした。